治療方法:肛門機能障害治療
治療方法:肛門機能障害治療
薬物療法
排便障害に対する薬物療法には様々な薬が使用されます。薬を正しく使うためには排便障害の原因を明らかにし、適切な薬を選択する必要があります。たとえば便秘=下剤ではなく、原因により薬を選択します。
排便障害に使用する薬としては、消化管運動改善薬、消化管運動調整薬、消化管運動賦活薬、酸分泌抑制薬、健胃消化剤、腸内細菌を整える薬、消化管ガス駆除薬、漢方薬など、また心理的あるいは物理的ストレスが原因になっている場合もあり、そのような場合は精神安定剤、抗うつ剤も使用することがあります。
訓練による治療
1.バイオフィードバック療法(収縮訓練・弛緩訓練)
①収縮訓練
収縮力が低下した外肛門括約筋の筋力を筋震計を使って訓練する方法です。
②弛緩訓練
緩んでいるはずが逆に肛門を締めていることがあります(奇異性収縮)。
脳が間違った指令を出すのを視覚や聴覚でとらえて、正しい動作を習得する訓練です。

2.運動療法(骨盤低筋体操)
歳をとると骨盤の筋力が緩んで排便障害をきたします。骨盤の筋力を取り戻すために行います。
手術による治療
1.仙骨神経刺激療法(SNM:便失禁(便漏れ)に対する新しい治療)
排便に関連した神経を心臓ペースメーカに似た小型の刺激装置で継続的に電気刺激し、症状の改善を図る治療方法です。欧米では、便失禁に対する有効な治療方法のひとつとして20年程前から実施されています。
日本でも2014年の4月から保険適応となりました。講習会を受けた医師が所属し、一定の基準を満たした医療施設で行われます。
便失禁全般に関する詳細は便失禁疾患啓発サイト「おしりの健康.jp」をご参照ください。
※引用、図 日本メドトロニック社提供
2.肛門括約筋形成術
断裂や損傷した肛門括約筋を再建形成し、肛門の機能を改善する手術です。
出産時の会陰裂傷や外傷による括約筋損傷で起きた排便障害の時に多く行われます。